スポットライトを浴びて自慢の歌声を披露し、観客から盛大な拍手を受ける‐。数百人規模のホールを借り切るカラオケ大会がここ数年、大牟田市で次々開かれている。出演者は60歳以上の熟年層。1曲歌うための料金数千円、豪華な舞台衣装の購入を惜しまない。理由は「スターの気分になれる」満足感。少人数で楽しむカラオケ店とは違う、大舞台に立つカラオケ大会の人気がじわり広がっている。 (大牟田支局・易永美香)
10月中旬、大牟田市不知火町の大牟田文化会館で開かれたカラオケ店主催の発表会。番号、名前、曲名がアナウンスされると、きらびやかなドレスや着物などを着飾った出演者がマイクを持ってステージ中央に進んだ。512席の小ホールはほぼ埋まっている。
この日の出演は同市内や近隣市から108人。60、70代が大半を占める。観客の多くは出演者の家族や友人。主演者自身も出番を待つ間や歌い終わった後に観客となる。「流れて津軽」「おけさ海峡」「なみだ船」…。演歌の熱唱は約7時間続いた。1曲披露するための出演料は弁当付き3500円。この金額は「安いほう」で、5000円台の大会もあるという。
水色の着物姿で登場した熊本県長洲町の自営業谷信次さん(60)は、年に3、4回のペースで出演する。「ステージで歌うとスター気分になれる」。大牟田市通町の自営業吉永美枝子さん(70)は「日常とは違う世界を味わえる時間。歌に合わせて毎回衣装も考えています」。これまで約10回出演し、次を楽しみにしている。「大会があるから練習にも力が入る」と語る同市青葉町の主婦早崎紀代子さん(66)には生きがいになっているという。
同会館では同様の大会が9月下旬の10日間だけで3回開かれ「ここ数年増えている」と説明。400席余りのホールを備える、みやま市の「まいピア高田」や「瀬高公民館」でも増える傾向だという。
カラオケ文化に詳しい大手レコード会社の元ディレクター近藤秀男さんは「テレビでオーディション番組が増え、素人と歌手の境があいまいになってきた。時間や金銭に余裕ができた年配者が子どものころの夢をかなえようとしているのでは」と分析している。
=2008/11/28付 西日本新聞朝刊=
2008年11月28日
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